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霊烏路車輌製造 工場日記

模型製作とか実車観察、電気・電子工作、音楽作りなんかについて備忘録代わりに書いていきます。よろしくお願いします。

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京急1000形1409編成を作る

どうも。いおんぐりっどです。
2日連続の投稿だとお久しぶりですとも言いにくいので冒頭の挨拶で毎度悩んでおります・・・

 さて、先日フォロワーさんから頂いた京急1000形4連が仕上がったので今回はそのお話です。

頂いた編成は1次車だったのですが私はすでに手持ちで1401編成を所有しているため、ガラスと中間車の屋根を調達することで2次車へと生まれ変わらせました。余ったガラスと屋根は別のところで活用する予定です()
貫通扉を取り付けて3次車以降とすることも検討しましたが、1・2次車用床下機器がちょうど4両分余っていたので2次車としました。
4連2次車ということで選択肢は1409編成、1413編成の2つになります。今回は1409編成を選択しました。

 早速ですがいつも通り各車紹介から参りましょう!

デハ1409号車(Muc1)
海側

山側

浦賀方先頭電動車です。いつものN1000の加工メニューを踏襲し、基本的なパーツはすべて銀千用のものを取り付けています。「歌う」でおなじみのシーメンス製G1450 D1130/480 M5-1形トラクションコンテナ・山側に鎮座する高速度遮断器およびコンプレッサ周りと冷房配電盤、そして空気ダメは自作3Dパーツを取り付けて細密化を図りました。

サハ1410号車(T)
海側

山側

蓄電池(SB)と放電抵抗器(RD)を搭載する中間付随車です。1次車では将来的に4+8の組み換えで6連を2本作ることを考慮されていたため浦賀寄りの付随車にもパンタグラフと補助電源装置が設置されていましたが、2次車でそれも取りやめになったため機器構成としては2100のTに近くなっています。こちらもいつも通りRDは自作3Dパーツ、SBはGM銀千の分売品を取り付けています。

サハ1411号車(Tp)
海側

山側

品川方の付随車です。前述のとおり編成内での機器配置に変更があったため、こちらの車がパンタグラフを2基搭載しています。見た目は2100や8連1000のTp車にそっくりですが、4連1次車で各付随車にそれぞれ搭載されていた補助電源装置が1両に集約されたため、密度の高い床下になっているのが分かるかと思います。

デハ1412号車(Msc1)
海側

山側

品川方の先頭電動車です。基本的にMuc1と機器配置が同一であるため割愛します。

 各車紹介も終わったところでいつも通り細部を見ていきましょう!
まず、こちら

今回の編成のメインともいえる主回路装置ですね。相当有名な存在だと思うので詳細な解説は省略しますが、このインバータが駆動する主電動機から発せられるサウンドに魅了された方も多いのではないかと思います。他でもなく私もその一人であるわけでして~

模型ではこのように3ピース構成として両側で溝に取り付けるような形状にしてみました。こうすることで積層痕も多少目立ちにくくなるかなぁと・・・

お次はこちら。もうこのブログで何度解説したかわからないRDです。2100までは車体中央に搭載することで動揺抑制効果を狙ったこの機器ですが、1000の2次車では海側に寄せて艤装されています。艤装スペースにさほど制約があるようにも見えませんので、おそらく期待したほどの効果が得られなかったのでしょう()

TpのSIV変圧器です。これについては以前の4連3-5次車の製作記事でもご紹介しましたのでそちらを参照していただければと思います。

台車は私のアルミ車ではすっかり標準の加工メニューとなった空気バネ横に車体側から生えている受けの取り付けもちゃんとやってありますよ~

屋根上は特に変わったところもなくいつも通りの配管色差しで仕上げています。

車体はいつも通りGM21番アイボリーのあとに29番+クレオス81番を1:1程度で調合したバーミリオンを吹いてさらに光沢クリア仕上げとしています。

 ひとまず加工点はこのくらいです。基本的にいつも通りで新しい要素は少なめですが、今まで製作したことがなかったN1000形2次車にチャレンジできたので有意義な体験でした。本当に種車を譲渡してくださった某氏のおかげです、ありがとうございます。
 2次車はGMの京急完成品シリーズでも最古参ということで、何かと市場でも多く見かけますので皆さんもチャレンジしてみてはいかがでしょうか?専用で起こさないといけない機器も少ないので比較的お手軽加工で完成にもっていけると個人的には思っています。

N1000アルミ1・2次車も3本目となってだいぶにぎやかになってきました。次は製作後手放してしまった3-5次車でもリベンジしましょうかね・・・

ではまた、次の記事でお会いしましょう!ばいにょろ~!
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そらのむこう

お久しぶりです。いおんぐりっどです。
以前からついったでちょいちょい進捗を上げてた京成の新AEが完成しました。

 マイクロ製品をベースに車体の磨きとクリア仕上げ、床下周りをちょこっと手を入れただけですがそれなりに形になりました。
いつも通りならここで各車紹介ですがAEは側面から見ても機器がわかりにくいため、各車の紹介は割愛します。

 その代わりと言っては何ですが、各部の加工をより重点的に見ていければと思います。

まずは屋根上から、実車では屋根の雨樋より内側はほとんど黒に近い色で塗装されているので模型もここは再塗装しました。屋根までラメ入りの紺色ではかっこ悪いですからね・・・
塗料はクレオス137番タイヤブラックあたりをベースに黒と混ぜて調色しています。

続いてクーラー周りですが、まずクーラー本体はステンレスシルバーで再塗装ののち墨入れ、前後の整風板はサフで下地を整えた後同じくステンレスシルバーで塗ることで塗装されたFRP感を出しています。クーラーと整風板をつなぐカバーはグレーを混ぜた銀色で塗ることで材質の違いを表現してみました。メリハリが出たんじゃないかと思います。

パンタ周りは基本いつも通りの感じです。屋根色が黒のところに黒の配管が引かれているので目立ちにくいですが、配管側を油性マジックで色入れすることで色味を変えて目立たせています。ヒューズ箱はプラ成形の配線パーツを撤去して真鍮で植え直しています。めんどくさいわりにあんまり目立たないですね・・・orz

車体はGMの光沢クリアを吹いた後にコンパウンドで磨き出して艶仕上げにしてあります。辞めたくなる気持ちにどこまで喝を入れて磨き続けられるかが車体の完成度を大きく左右するので精神力が必要かなぁと・・・

ついでに運転台にグレーを差してさらにライト基板のLEDを交換することで実感的にしてあります。

さてさて、そしてメインの床下ですが・・・

まずほぼ更地状態だった床下にGMの分売パーツとかを並べていきます。某氏から床下資料をいただいたので楽に作業することができました。ありがとうございます。

インバータ装置のところは実車通り内側からパワーユニットを出そうかと考えたのですが強度的に厳しかったので塗り分けと色差しのみにとどめてあります。
余談として、京成AEのVVVF装置であるRG6009-A-M形ですが冷却方式は一般的なヒートパイプによる走行風自冷式を採用しています。しかしながら床下をほぼ完全に覆うカバーによって取り入れられる走行風が限定的になることからパワーユニット下部に補助冷却ファンが取り付けられています。模型でもこれを再現するべく、プラ板を貼りつけてパワーユニットがカバーの下にはみ出るようにしてみました。

5号車にはトイレが設置されているため、車端部のトイレタンクと車体中央付近の水揚装置・水タンク等は自作3Dパーツを取り付けてみました。一発勝負の設計でしたが見事にぴったり嵌ってよかったです。ついでにT台車(写真右側の台車)につけられている速度発電機も3Dプリントで出力して取り付けてみました。軸端が飛び出ている様子が再現できたと思います。

M台車の方は特に何かを取り付けることはせず、色差し程度で仕上げています。C種車輪(車輪ディスク付き車輪)を履いているのでディスク部分は銀色のままにしてあります。

元の製品レベルが高いので加工点はこれくらいです。比較的お手軽にできる加工でしたが、ついったに流したところ思いのほか好評でびっくりしました。自分の模型で400ふぁぼもらったことなんて初めてなので驚いています。ありがとうございます。
京成車の中でも1番好きな車を自分なりに手を入れて仕上げられたので満足です。10周年目を迎えた成田スカイアクセスですが、これからもJAPAN SPEED、160㎞/hで下総台地を駆け抜ける姿を見せてほしいものです。


まっすぐ、速い。 

パンダコルゲッティー

 お久しぶりです。いおんぐりっどです。
最近無駄に更新頻度が高いですね、そろそろ自粛モードにも飽きてきた今日この頃です。
さて、京急バカ一代の私ですが今回はトンネルの反対側の車を作ってみました。

というわけで京成3500形です。友人からとても安く譲っていただいたマイクロ製品をベースに加工しました。
編成に関して特にこだわりはないのですが、せっかく再塗装をするのに製品と同じでもつまらないので3524編成としてみました。

 では早速いつも通り各車を見てみましょう。とはいっても今回は床下は特に手をつけていないのであっさりと、、、
番号順に成田方から紹介するべきか迷いましたが、いつもの京急車に揃える形で上野方からとしています。

モハ3524号車(M2)
海側

山側

上野方の先頭電動車です。補助電源周りと空気圧縮機を搭載しています。更新に際して京急線への乗り入れ対応としたため、運転台側が電動台車のFS-389、中間側が付随台車のFS-089を装備しています。模型では製品の床下をそのまま使用しています。

モハ3523号車(M1)
海側

山側

前述の3524号車とユニットを組むM1系です。主回路周り一式を装備し、海側に主抵抗器、山側に主制御器および断流器が吊ってあります。抵抗器のカバー形状が特徴的な同形式ですが、こちらも製品のプロポーションが良好だったためそのまま用いています。

モハ3522号車(M1)
海側

山側

成田方ユニットのM1系になります。京成3500形では京急の銀千4連などと同様にMM'ユニットが反転して連結される構成のため、基本的に上野方ユニットの各形式と床下配置は同一になります。模型においても動力車であること以外同一のため割愛します。

モハ3521号車(M2)
海側

山側

成田方の先頭電動車になります。3524号車と同一のため割愛します。

 各車紹介も終わったところで今回の加工ポイントをざっくりと、、、
・ワイパー、貫通扉手すり、渡り板の別体化
・前面ガラスをツライチにする加工、およびガラス内側の表現
・パンタグラフのシングルアーム化

まず1つ目の各種別体化ですが、こちらはBONAのP-662「電車用パーツセット06」を使用しました。

既存モールドを削って植えるだけの簡単作業です。便利なパーツが存在してありがたい限りです。

2つ目の前面ガラス加工ですが、こちらは製品のガラスを窓ごとに分割し、嵌め込んだ状態で面一になるようにして固定しています。ガラス内側の表現は同じくBONAのパーツを取り付けました。パーツが鉄コレの構造に合わせた設計のため、取り付けにだいぶ難儀しました。同じ作業をもう1回やりたいかと言われれば否ですね・・・

3つ目のパンタ交換ですが、こちらはパンタをTOMIX0249 PT-7113Bに載せ変えました。しかしながら載せ換えて終わりというわけにもいかず、シングルアームパンタ化に際してヒューズ箱が片側撤去されたためそれらのモールドを削除するという作業が発生します。

こんな感じで配管を削って・・・

再塗装します。ついでにヒューズ箱はGMの京急用のものに置き換えました。撤去するヒューズ箱はそれぞれ山側なので注意が必要です。

製品状態と比較するとこんな感じになります。だいぶシンプルな屋根になりましたね。避雷器は元のパンタグラフについていたものをそのまま流用しました。

さて、一連の作業のあとは車体塗装になります。シルバー塗装はガイアノーツのダークステンレスシルバーを用いています。

赤帯は製品のものを活かしたかったため、赤帯マスキングで銀塗装→艶ありクリア→青帯→窓枠の順で塗ることにしました。青帯はクレオス65番インディブルーを使用しました。
屋根はGM9番ねずみ色1号、冷房装置はGM14番灰色9号でそれぞれ塗装しています。

個人的に理想の色味になりました。黒成分が多い暗めのステンレス光沢がうまく再現できたかと思います。一度艶消しクリアを吹くことで完全な金属光沢ではなく少し膜が張ったような仕上がりにすることができました。この方法は汚損防止コーティングを塗った車などを製作する際にも応用できそうですね・・・


各車紹介でも軽く触れましたが、今回は床下は特にいじらず基本的には製品そのままです。元の造形が的確なため灰色で塗っただけでもGoodですね。台車の造形が特に素晴らしいです。あ、MG抵抗器はちゃんと黄色にしてありますヨ。

この時代にもなって東芝の傘マークを見るとおおっ!って思いますよね。クルマの歴史を感じさせてくれる機器でもあります・・・

 ここでちょっと余談、模型とは直接関係ないですが京成3500形で個人的に好きな床下機器がこちら・・・

ブレーキ制御装置です。レール方向に長い蓋を1個のハンドルで留めているあたりがとてもキュートで推しですw

 閑話休題。全体的な塗装が終わったら表記類を入れていきます。

イーグルスのNo.504、505と富士川のステッカー0826を用いて各種プレート、銘板類を転写していきます。今回は友人から余りを提供していただきました。ちょっと前の2100に引き続き毎度頭が上がりません、ありがとうございます。


 最後の仕上げに前面スカート周りにエアホースや乗務員ステップ、機器箱等を追加して軽くごちゃっとさせたら完成です。

赤・黄・白の3本のエアホースが付くと電磁直通車感が出てきますね。こうして製品ノーマル状態と比較するとだいぶ化けたかなと自負しています・・・京成車ということもあって比較的力を抜いて作業しましたがそれなり形にはなりましたw
行先は4連運用ということで金町線にしてみました。柴又に行くときに乗りましたがのんびりしていて下町らしい雰囲気ですね。個人的に好きな路線の1つです・・・

柴又駅前の今川焼きがおいしかったのでまた食べたいですね、前回行ったときは夜だったので次回こそお昼に訪れて帝釈天の参道にある天丼屋さんにも行ってみたいです。

さて、というわけで自身初となる京成車の製作記事でした。次回も京成車が続く・・・予定なのでぜひお楽しみに!








ところで3500のあと8両どうしようかなと・・・4+2もやりたいけど4+4で京急乗り入れも捨てがたい・・・まあゆっくり考えましょ

”いつもの”銀千を作る

どもども、いおんぐりっどです。いつもの癖でお久しぶりですって書きそうになって、そういえば数日前に更新したと思い出してやめました。それだけ更新サボってるってことですね、半分くらいは反省しています。

 さて、今回は銀千の8連を作るお話になります。

編成は1137編成ということで、次車区分では10次車に相当します。このグループについては以前1489編成を製作したのでそれの8連バージョンですね。

 それではいつも通り各車から見ていきましょう!
デハ1137号車(M2uc)
海側

山側

浦賀方の先頭電動車です。隣のデハ1138号車とユニットを組み、補助電源装置と蓄電池を搭載しています。模型でも特に目立ったことはせず、MBSA作用装置と補助継電器のみ自作3Dプリントパーツに置き換えてあります。この点については残り7両についても共通事項です。

デハ1138号車(M1u)
海側

山側
浦賀方ユニットの中間電動車です。主回路装置一式を搭載しています。まあほかの銀千のM1系と基本的な配置は特に変わりません。ブレーキシステムの構成上、編成に3両存在するM1系のうち、このM1uのみブレーキ受信装置(BCB)の筐体が大型になっています。主回路およびブレーキ関係のほぼすべての床下機器で自作3Dパーツを使用しています。

サハ1139号車(Tu)
海側

山側

浦賀方の中間付随車です。空気圧縮機を搭載しています。基本的には製品の床下機器をそのまま使いますが、空気圧縮機とその海側に大きく鎮座する第1元空気タンクはそれぞれ枕木方向の車体中央側に寄せるように取り付けることで実車同様としています。

デハ1140号車(M1u’)
海側

山側

中央ユニットの中間電動車です。構成はほかのM1系と同様ですが、BCBの筐体が小型である点、また受給電区分の境界に位置する車両のため、受給電接触器が山側品川方にある点が先述のデハ1138号車と異なる主要なポイントと言えるでしょうか。模型では動力車に設定してあります。

デハ1141号車(M2s)
海側

山側

デハ1140号車とユニットを組むM2系の中間電動車です。こちらも主回路の構成上ではM2系となりますが、電動台車を装備しているのみで、その他自車分の機器以外は持たないため非常にすっきりとした床下配置となっています。

サハ1142号車(Ts)
海側

山側

品川方の中間付随車です。サハ1139号車と同様のため割愛します。

デハ1143号車(M1s)
海側

山側

品川方ユニットの中間電動車です。BCBの筐体が小型である以外はデハ1138号車と同様です。

デハ1144号車(M2sc)
海側

山側

品川方ユニットの先頭電動車です。床下配置はデハ1137号車と基本的には同様ですが、海側の整流装置隣に車内VIS用の行先表示制御器が搭載されています。

 さて、各車紹介も済んだところで、今回はいつも通りの3D祭りですから早速床下機器から見ていきましょう!

はい、早速メインディッシュの三菱製MAP138-15V174形VVVFインバータ装置になります。筐体外形からいかにも三菱といった風貌ですよねwニクイねぇ!
特徴的なパワーユニットのザルや制御アンプ部の遮光板などが立体的に再現できたかと思います。RT-1773形フィルタリアクトルや海側に大きく構える断流器も3Dで出力しましたがいい感じですね。東洋電機製の電装品とは異なり、高速度遮断器(HB)が断流器(CB)の筐体に内蔵となっているため比較的すっきりとまとまっている印象があります。

\もちろん裏側も再現してますヨ!/

さて先ほどの画像でちらっと見えてしまいましたが、こちらは補助継電器箱(ARB)になります。前半でも述べましたが、今回の1137編成では8両すべての補助継電器を3Dプリント品に置き換えてみました。GM完成品に元からついている補助継電器では、各形式(M1,M2,T)のランナーでディテールが異なるためそれの解消を兼ねています。ARBは個人的にもいろいろな意味で好きな床下機器のひとつなので、「吊ってる感」が出せて大満足です。気にいったのでこんなお遊びもしてみたり……


最後はこちら、個人的にはVVVFと並んで目玉(だとおもっています)のMBSA作用装置です。みんな大好きなやつですね。GM完成品のものでも十分すぎるくらいのディテールはあるかと思いますが、今回はさらにその上に挑戦してみました。ハンドルの立体感や、枠と本体で分かれた構成を意識してモデリングしてみましたが思いのほかうまくいったようです。

やりだすとなんでも調子に乗ることに定評がある私ですので、今回も精一杯バカなことをやってみました。半ばおふざけで作ってみましたが最近の3Dプリンタの性能はすごいですね、おふざけを完璧に立体化してくれました。裏側のチリコシや空気バネ配管がつながる空気室がしっかり出力されています。いやぁほんと3Dプリンタさまさまです。ちなみに脇の配管はGMの製品についていた床下機器から切り出しています。


全体的な床下機器を見るとこんな感じ、製品がそのまま使えるものは使って、ディテールを追求したい場所は3Dパーツでといった具合に軽いメリハリをつけています。あまりうるさすぎず程よい立体感になったかと思います。
 

台車周りは前回から標準となった台車排障器を取り付け、そのほかはいつものメニューでスカート裏側を軽くごちゃっとさせています。

3Dネタであとひとつだけ、今回は加工種車にGMの4114を使用したためそのままではSRアンテナがありませんでした。そのためこちらも併せて3Dで設計しました。ついでなので運転台コンソールもサクッと設計して余ったスペースに詰め込んでプリントして取り付けています。

 屋根上はいつも通り色差ししたのに加え、配管止めを色差ししています。配管の被覆が黒っぽい色をしている銀千ではこの色差しがだいぶアクセントになりますね。


 ちょうど2年前に製作した1201編成と並べてみました。同じ三菱電機製の主回路を持つ8Vということで、ある意味”姉妹”のような関係にも見えます。この1201編成も追加工に追加工を重ねようやく今の形に落ち着きました。2年で一体どれだけ手を加えたでしょうか……


 というわけで、「いつもの」銀千を「いつも通り」に作ったお話でした……と締めくくりたいところですが、実はこの編成は個人的に特別でかつ複雑な感情を抱きながら製作しています。
ここからは私情を含んだ駄文となってしまいますが、お暇なら読んでいっていただければ幸いです。

 忘れもしない2019年9月5日のことでした。快特三崎口行き1088SHとして神奈川新町駅を通過した1137編成がトラックと衝突、架線柱を倒し軌道を大きく逸脱する大事故となったのは未だに記憶に新しいものです。
 事故直後、Twitter上では多くの議論が巻き起こりました。私個人として何か発信することはしませんでしたが、それらを傍観することで安全とは何なのかを自分の頭で改めて考えさせられたのを覚えています。当時車両技術の界隈にもう片方の足を踏み入れようとしていた私にとって、印象が強かったのはJR車と比較して京急の車両を称賛する内容があまりにも多かったことでしょうか。自分なりにこの議論を考察してみましたが、私個人としては「京急のクルマは京急のクルマとしてその性能を設計上の過不足なく発揮し、事故の被害を車両サイドとしてはできる限り抑えただけに過ぎない」との結論を出すことしかできませんでした。
 JRと京急では走行する環境が異なる上、車両に要求される条件も全く異なったものになります。私は、車両設計とはその車両に課された様々な条件の中で最大限の安全を実現するものであると考えています。簡単な例として考えても、20m級車体でクラッシャブルゾーンを大きく取ることができるJR車であれば、構体に意図して壊れやすい部分を作り衝突時の衝撃を吸収することで乗客乗員を保護する構造を取るという「解」が生まれ、逆に18m級車体でドア位置などの制約もある京急車では先頭車の自重を増加させ、また先頭構体の強度を高めることで同様に保護するという「解」が導き出されるのはごく普通のことでしょう。どちらが正解、間違いというわけでは決して無く、各社がそれぞれの方法で努力し最大限の安全を追求しようとしています。設計について考える際に、どちらが良い、悪いと言った相対的な視点に固執することの浅はかさ、要求された条件の中でどれだけの安全を取れるかといった絶対的な視点の必要性を知ったのはこの時でした。
 数年前の私ならどうだったでしょうか、きっと京急車を両手離しに称賛し、他社の車を批判する一派に属していたことは想像に難くありません。見識を深めれば深めるほど思考も深まるものです、きっとこの考察も数年後の私が見たら酷く落胆することでしょう。いや、落胆させなければなりません。まだまだ知らないことが多すぎます、毎日が勉強であることも同時に実感させられました。
 付け加えておきますが、もちろん、車両だけで安全を確保することは不可能です。どんなに高性能な電車でも最終的に動かし、止めるのは人ですから、こちらの面でも安全を蔑ろにすることはできません。詳しい発言は事故調査委員会の報告書を待ちますが、この事故が京急、そして各社の”人”に対する考えに一石を投じたこともまた事実です。

 もちろん考え方は人それぞれです、こんな話題を出してしまって不快に思われる方、また考察が気に食わない方がいたらそれはごめんなさい。実はこの辺の話は書くか書かないかだいぶ迷いましたが、数年後の私が見てどう思うか気になったので、今の思考を言語化して残そうと思い書くことにした次第です。どうかご容赦ください。

 様々な観点から安全について再考するきっかけとなったこの出来事、知識のない私にとっては、事故の本質とは異なる車両の分野において稚拙な考察することしかできませんでしたが、間違いなく一生忘れることのない出来事だったように思います。そのような意味で、偶然であり必然ですがこの惨事の主役となってしまった1137編成を記憶に留めようと製作しました。「いつもの」は時として「いつも通り」では無くなるものです、せめて模型では大切にしてあげたいところです……

 ここまで駄文にお付き合いくださった方、本当にありがとうございました。これ以上長く引っ張るのも良くないですから、最後にひとつだけ……

 
 「ありがとう、そしてお疲れ様、1137編成」

2100形車体更新車を作る

お久しぶりです。いおんぐりっどです。なんだかんだで前回の更新から半年近く経ってしまいました。
 さて、今回は今更感の否めないネタですが2100形車体更新車ということで、主に車体側の加工がメインとなりました。GMから既に完成品が出ていますが、それ以上のクオリティを自前で実現できないかと奮闘した記録になりますw  床下ネタは少なめですがお付き合いいただければ幸いです。

 制作する編成は私が2100の中で一番好きな2101編成にしました。現車では車体更新1本目の編成になります。車体更新車が出場した時には前面のけいきゅんマークにびっくりしたものですが今ではすっかり見慣れたものになりましたねw

 いつも通り各車紹介から行ってみましょう!

デハ2101号車(Muc)
海側

山側

浦賀方の先頭電動車で、主回路機器と空気圧縮機を装備する車両になります。これはほかの車でも同様となりますが、模型では補助的な機器の多くを銀千用のパーツで置き換えたほか、空気圧縮機や高速度遮断器(HB)、冷房配電盤などは自作の3Dパーツを取り付けてあります。

サハ2102号車(T)
海側

山側

浦賀方ユニットのパンタ無し中間付随車になります。車体中央の放電抵抗器(RD)は600形の記事などでもご紹介したいつもの自作3Dパーツです。蓄電池箱は銀千のものに置き換えました。

サハ2103号車(Tp)
海側

山側
こちらはパンタ付きの中間付随車になります。補助電源周りの機器一式に自作3Dパーツを使用しています。模型における動力車としました。

デハ2104号車(Mu)
海側

山側

浦賀方ユニットの中間電動車です。構成としては先頭車から空気圧縮機一式を取り去ったような機器配置となっています。細かい点としては、先頭車ではブレーキ受信装置箱(BCB)がブレーキ指令器(BA)を内蔵した大型のものであるのに対して、こちらのMu、それから後述のMs系ではBCB単独の小型のものになっているところなどでしょうか。これは自作3Dパーツで再現しています。また、この車が浦賀方ユニットと品川方ユニットの受給電区分の分かれ目に位置するため、山側の空気ダメの横に受給電接触器(SDC)が取り付けられています。

デハ2105号車(Ms)
海側

山側

品川方ユニットの中間電動車になります。Mu系と基本的な構成は同じとなり、SDCのみが搭載されていない形になります。模型的にはデハ2104号車とほとんど同じとなるため割愛します。

サハ2106号車(T)
海側
山側

品川方ユニットのパンタなし中間付随車です。サハ2102号車と同様のため割愛します。

サハ2107号車(Tp)
海側

山側

品川方ユニットのパンタ付き中間付随車です。サハ2103号車と同様のため割愛します。模型ではこちらは非動力車です。

デハ2108号車(Msc)
海側

山側

品川方の先頭電動車です。600形や銀千10次車〜とは異なりVIS用の行先表示制御器が床下に搭載されていないため、浦賀方先頭車と同様の配置となります。

 さて、各車紹介も終わったところで今回のこだわりポイントを…
 目玉の車体加工は後半のお楽しみとして、まず床下のほうをササッと見てみましょう~

RG6008-A-M形VVVFインバータ装置とフィルタリアクトルです。GM製品に付いてたものが個人的に割と好みの造形だったため、枕木方向で繋げて箱にした上でそのまま使っています。比較的近年の製品の床下なので色差ししてあげれば十分実用に耐えるディテールかと思います。個人的に2100形固有のVVVFのイメージが長らくありましたが、N1000形の更新でもサフィックス違いの兄弟形式が多く見られるようになって、増えたなぁ…と実感する昨今です。

こちらは山側です。目立つものとしてはHBとコンプレッサでしょうか。製品についてるものではディテールが納得いかなかったため、自作データの3Dパーツで再現しています。HBの艤装用枠、コンプレッサのサイドのスリット、配線などが上手く出力できたので満足です。

さてお次はT系の放電抵抗器…と言いたいところですがこちらは以前にも紹介しているので今回は割愛します。どちらかと言うと見ていただきたいのは右隣に地味な感じで佇んでる冷房配電盤のほうでして~、こちらは実車では車体更新に伴い冷房装置が載せ変えられたため同時に取り替えとなりました。以前のものより筐体の天地寸法が短縮され、側面の切り欠きが無くなったあたりが外見上の特徴かと思います。実は今回制作している模型も元々は機器更新・車体未更新車として所有していたものに手を加えているため、実車同様に冷房配電盤も自作3Dパーツで取り替えとなりました。


補助電源周りです。600形4次車以降でお馴染みの三菱のNC-WAT150系のSIVですが、サフィックスCとなるこの形式では600形のNC-WAT150A形とは異なり、三相交流の出力電圧が200Vから440Vに変更されています。外形は同様のため模型では600形4次車で使用したデータを流用して3Dプリントしたものを取り付けています。だいぶ昔に設計したものなので(ディテール的な意味で)そろそろ作り直したいなぁとは思ったり…

こちらはMu、Ms系に搭載されるBCBです。蓋に刻まれた三菱の銘板が特徴的な箱ですね。3Dデータを作成する際にも最大限細かく作り込みましたが、プリンタの性能のおかげもあってうまく出力できたようで満足です。

台車周りは3Dプリントした排障器をつけてより密度を高くしています。それ以外はいつも通りですね。

床下に引き続きいつものメニューで加工したパンタ周りになります。

今回はちょっと気合いを入れて配管止めを少し濃いめのグレーで塗り分けてみました。やはり鉄道模型は上から眺めることの多いものですからこの辺にしっかり手を加えると見栄えしますね。他編成にも展開させていきたいところです…

 さて、ここからがいよいよ今回のメインディッシュとも言える車体周りの加工についてです。

まず車体更新車といえばこれですよね、開閉可能に改造された車端部の側窓です。GM完成品では印刷で窓枠が表現されているものの、自前で制作しようとするとなかなか難易度が高くなります。窓枠については一応サードパーティでインレタが出ているのですが、どうもオーバーサイズ感があって個人的に好みでなかったので今回は塗装で再現しました。
というわけで、、、

\デンッ!白色のヤツ!/
はい、カッティングプロッタです。なんと友人が貸してくれました。本当に感謝ですありがとうございます。

そうと決まればあとはCADでサクサクッとデータを作って……

切るだけですね。超簡単です。シルエットカメオでは、AutoCADなどで書き出し可能なdxfファイルがそのまま読み込めるのでCADで設計して切り出すのに最適ですね。刃出し量3、切り出し強さ(厚み)3、速度1~2くらいで切ってちょうど良かった気がしますが、同様の方法を試される方は各自調整をお勧めします。あ、オーバーカット機能は忘れずにつけてくださいね。
危うく書き忘れるところでした、窓に関してはガラス側に0.3㎜程度のプラ板を貼りつけることで実車同様奥に引っ込ませています。接着が大変でした。
切り出しの際にアイボリーの太帯用のデータも作成したので今回は全塗装することにしました。

車体が全塗装ということでこちらもしっかり加工をしました。元あったルーバーを削った上、シール用紙を塞ぎ板サイズに切り出した上貼り付け、その上から塗装をしています。今のところ塗料の剥がれ等はなさそうです。厚さも概ねちょうどいいかと思います。

お次は屋根周り、更新に伴い2基/両だった排気扇は半減され、各車両で片側が撤去されたため同様に再現しました。元の脚を切り取って穴に差し込んで接着させた後、削るのがいちばん手軽かと思います。

冷房配電盤の話で少しだけ触れましたが、更新に伴い冷房装置が交換されています。どちらも三菱製のもので、左が落成時から搭載していたCU-71G形、右が更新に伴い搭載されたCU71H-G2形です。ファン部分のレール方向寸法が若干大きくなり全長も長くなったことが分かるかと思います。こちらのパーツのみGM車体更新車完成品用の分売パーツを使用しました。冷房装置の外形にはあまりこだわりのない私ですが、さすがに長さが異なるのをそのままにしておくのも納得がいかないのでここだけは投資することにしました。安く仕上げたい場合には銀千用の分売クーラーと元からついていたCU-71Gの整風板を組み合わせて貼り付ける方法もあります。
SR無線アンテナは更新出場直後を時代設定にして、準備工事としました。塞ぎ板は自作3Dパーツで再現しています。穴を開けて差し込むだけなので楽ですね。
運転台のコンソールもついでにサクッと設計したものを印刷して取り付けています。サードパーティからすでに発売されているようですが、これくらいなら自分でデータを起こしてまとめて印刷した方が手軽なのでコスト重視としました。こういう小物類って床下3Dパーツ出力用ランナーの隙間埋めにちょうどいいんですよね〜

最後に今回は客室内にも手を入れてみました。座席を塗り分けてシートの枕カバーに赤色のステッカーを貼り付けましたが、動力車抜きでも7両分の作業となりなかなかしんどかったです……仕事から帰ってきて眠気と戦いながらの貼り付け作業でした、同様にやってみようという方は気を確かに頑張ってくださいね……

 さて、ここまでざっくりと見てきましたが車体更新車たる部分は概ね再現出来たかと思います。床下ばかりいじってる私ですが、たまにやる車体加工もいいものですね、切削や研磨などの技術の再確認にもなります。

 余談ですが、車体を全塗装をしたいい機会ですから個人的感性に基づく京急車の色について少し触れておこうと思います。
個人的に京急車の赤色は暗すぎず明るすぎずが好みなのでGM29番バーミリオンAとクレオス81番あずき色を体積比で1:1程度になるように調合したものを、またアイボリーはGM21番のアイボリーAをそのままでそれぞれ吹いています。さらに塗装車はツヤが命ですからトップコートはもちろん光沢で、粘度を低くしたものを垂れる寸前で止めつつ何度も重ね吹きしています。
これは600形以降の所謂「バルーン顔」の車に限ったことですが、先頭部分のワイパーカバー(N1000ステンレス車では塗装による車号表記部分)はトレジャータウンのTTL852-01を貼り付けています。価格が高い上に貼り付けも比較的難しいインレタではありますが、元々の製品の印刷と比べて格段に見た目が向上するのでおすすめの1枚です。更新車で使われているけいきゅんマークは世田谷車両のインレタを使用しています。今回の2100では友人から余りを提供していただきました。修正で何枚も使っちゃってごめんなさい、ありがとうございました。

塗料のシンナーで脳みそがやられたのか、塗り直し始めたら段々と楽しくなってきてしまい手持ちの2100/N1000形については全編成を塗り直してしまいました。600形については追って施工していきたいと思います……上の画像は塗り直しによって大量消費された塗料の空瓶達です()
実は2101編成含め塗り直し関連の作業は大半を正月休み中に行ったのですが、おかげで正月休みがこれだけで溶けました。あ、コミケのお手伝いは行きましたけどねw


 そんなわけで久々に車体側もしっかりいじってみたらめっちゃ楽しくて時間が溶けたっていうお話でした。今回はあまり現車の床下について細かいことを書かず、模型的な部分に視点を当てて製作記録を書いてみましたがいかがでしたでしょうか。おそらく模型メインの皆様にはこちらの方が読みやすい内容になったのではないかと思います。今後も大規模に車体をいじるような車を作る際にはたまにはこんな記事を書けたらと思う次第です。
今回も最後までお読みくださりありがとうございました。次回は京急の歴史において大きな変化の主役となった”あの”車を作っていく記事になるかと思います。お楽しみに!!







【おまけ】
最近2101編成よく人身やってる気がするしだいぶ派手に壊れてるけど京急さんそろそろお祓いしません?

プロフィール

HN:
いおんぐりっど
性別:
女性
自己紹介:
京急/鉄道模型/床下機器/電気・電子工作/音楽アレンジ作り/同人活動
サークル:霊烏路車輌製造 主宰
Twitter:@kyukon_tech

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