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霊烏路車輌製造 工場日記

模型製作とか実車観察、電気・電子工作、音楽作りなんかについて備忘録代わりに書いていきます。よろしくお願いします。

”いつもの”銀千を作る

どもども、いおんぐりっどです。いつもの癖でお久しぶりですって書きそうになって、そういえば数日前に更新したと思い出してやめました。それだけ更新サボってるってことですね、半分くらいは反省しています。

 さて、今回は銀千の8連を作るお話になります。

編成は1137編成ということで、次車区分では10次車に相当します。このグループについては以前1489編成を製作したのでそれの8連バージョンですね。

 それではいつも通り各車から見ていきましょう!
デハ1137号車(M2uc)
海側

山側

浦賀方の先頭電動車です。隣のデハ1138号車とユニットを組み、補助電源装置と蓄電池を搭載しています。模型でも特に目立ったことはせず、MBSA作用装置と補助継電器のみ自作3Dプリントパーツに置き換えてあります。この点については残り7両についても共通事項です。

デハ1138号車(M1u)
海側

山側
浦賀方ユニットの中間電動車です。主回路装置一式を搭載しています。まあほかの銀千のM1系と基本的な配置は特に変わりません。ブレーキシステムの構成上、編成に3両存在するM1系のうち、このM1uのみブレーキ受信装置(BCB)の筐体が大型になっています。主回路およびブレーキ関係のほぼすべての床下機器で自作3Dパーツを使用しています。

サハ1139号車(Tu)
海側

山側

浦賀方の中間付随車です。空気圧縮機を搭載しています。基本的には製品の床下機器をそのまま使いますが、空気圧縮機とその海側に大きく鎮座する第1元空気タンクはそれぞれ枕木方向の車体中央側に寄せるように取り付けることで実車同様としています。

デハ1140号車(M1u’)
海側

山側

中央ユニットの中間電動車です。構成はほかのM1系と同様ですが、BCBの筐体が小型である点、また受給電区分の境界に位置する車両のため、受給電接触器が山側品川方にある点が先述のデハ1138号車と異なる主要なポイントと言えるでしょうか。模型では動力車に設定してあります。

デハ1141号車(M2s)
海側

山側

デハ1140号車とユニットを組むM2系の中間電動車です。こちらも主回路の構成上ではM2系となりますが、電動台車を装備しているのみで、その他自車分の機器以外は持たないため非常にすっきりとした床下配置となっています。

サハ1142号車(Ts)
海側

山側

品川方の中間付随車です。サハ1139号車と同様のため割愛します。

デハ1143号車(M1s)
海側

山側

品川方ユニットの中間電動車です。BCBの筐体が小型である以外はデハ1138号車と同様です。

デハ1144号車(M2sc)
海側

山側

品川方ユニットの先頭電動車です。床下配置はデハ1137号車と基本的には同様ですが、海側の整流装置隣に車内VIS用の行先表示制御器が搭載されています。

 さて、各車紹介も済んだところで、今回はいつも通りの3D祭りですから早速床下機器から見ていきましょう!

はい、早速メインディッシュの三菱製MAP138-15V174形VVVFインバータ装置になります。筐体外形からいかにも三菱といった風貌ですよねwニクイねぇ!
特徴的なパワーユニットのザルや制御アンプ部の遮光板などが立体的に再現できたかと思います。RT-1773形フィルタリアクトルや海側に大きく構える断流器も3Dで出力しましたがいい感じですね。東洋電機製の電装品とは異なり、高速度遮断器(HB)が断流器(CB)の筐体に内蔵となっているため比較的すっきりとまとまっている印象があります。

\もちろん裏側も再現してますヨ!/

さて先ほどの画像でちらっと見えてしまいましたが、こちらは補助継電器箱(ARB)になります。前半でも述べましたが、今回の1137編成では8両すべての補助継電器を3Dプリント品に置き換えてみました。GM完成品に元からついている補助継電器では、各形式(M1,M2,T)のランナーでディテールが異なるためそれの解消を兼ねています。ARBは個人的にもいろいろな意味で好きな床下機器のひとつなので、「吊ってる感」が出せて大満足です。気にいったのでこんなお遊びもしてみたり……


最後はこちら、個人的にはVVVFと並んで目玉(だとおもっています)のMBSA作用装置です。みんな大好きなやつですね。GM完成品のものでも十分すぎるくらいのディテールはあるかと思いますが、今回はさらにその上に挑戦してみました。ハンドルの立体感や、枠と本体で分かれた構成を意識してモデリングしてみましたが思いのほかうまくいったようです。

やりだすとなんでも調子に乗ることに定評がある私ですので、今回も精一杯バカなことをやってみました。半ばおふざけで作ってみましたが最近の3Dプリンタの性能はすごいですね、おふざけを完璧に立体化してくれました。裏側のチリコシや空気バネ配管がつながる空気室がしっかり出力されています。いやぁほんと3Dプリンタさまさまです。ちなみに脇の配管はGMの製品についていた床下機器から切り出しています。


全体的な床下機器を見るとこんな感じ、製品がそのまま使えるものは使って、ディテールを追求したい場所は3Dパーツでといった具合に軽いメリハリをつけています。あまりうるさすぎず程よい立体感になったかと思います。
 

台車周りは前回から標準となった台車排障器を取り付け、そのほかはいつものメニューでスカート裏側を軽くごちゃっとさせています。

3Dネタであとひとつだけ、今回は加工種車にGMの4114を使用したためそのままではSRアンテナがありませんでした。そのためこちらも併せて3Dで設計しました。ついでなので運転台コンソールもサクッと設計して余ったスペースに詰め込んでプリントして取り付けています。

 屋根上はいつも通り色差ししたのに加え、配管止めを色差ししています。配管の被覆が黒っぽい色をしている銀千ではこの色差しがだいぶアクセントになりますね。


 ちょうど2年前に製作した1201編成と並べてみました。同じ三菱電機製の主回路を持つ8Vということで、ある意味”姉妹”のような関係にも見えます。この1201編成も追加工に追加工を重ねようやく今の形に落ち着きました。2年で一体どれだけ手を加えたでしょうか……


 というわけで、「いつもの」銀千を「いつも通り」に作ったお話でした……と締めくくりたいところですが、実はこの編成は個人的に特別でかつ複雑な感情を抱きながら製作しています。
ここからは私情を含んだ駄文となってしまいますが、お暇なら読んでいっていただければ幸いです。

 忘れもしない2019年9月5日のことでした。快特三崎口行き1088SHとして神奈川新町駅を通過した1137編成がトラックと衝突、架線柱を倒し軌道を大きく逸脱する大事故となったのは未だに記憶に新しいものです。
 事故直後、Twitter上では多くの議論が巻き起こりました。私個人として何か発信することはしませんでしたが、それらを傍観することで安全とは何なのかを自分の頭で改めて考えさせられたのを覚えています。当時車両技術の界隈にもう片方の足を踏み入れようとしていた私にとって、印象が強かったのはJR車と比較して京急の車両を称賛する内容があまりにも多かったことでしょうか。自分なりにこの議論を考察してみましたが、私個人としては「京急のクルマは京急のクルマとしてその性能を設計上の過不足なく発揮し、事故の被害を車両サイドとしてはできる限り抑えただけに過ぎない」との結論を出すことしかできませんでした。
 JRと京急では走行する環境が異なる上、車両に要求される条件も全く異なったものになります。私は、車両設計とはその車両に課された様々な条件の中で最大限の安全を実現するものであると考えています。簡単な例として考えても、20m級車体でクラッシャブルゾーンを大きく取ることができるJR車であれば、構体に意図して壊れやすい部分を作り衝突時の衝撃を吸収することで乗客乗員を保護する構造を取るという「解」が生まれ、逆に18m級車体でドア位置などの制約もある京急車では先頭車の自重を増加させ、また先頭構体の強度を高めることで同様に保護するという「解」が導き出されるのはごく普通のことでしょう。どちらが正解、間違いというわけでは決して無く、各社がそれぞれの方法で努力し最大限の安全を追求しようとしています。設計について考える際に、どちらが良い、悪いと言った相対的な視点に固執することの浅はかさ、要求された条件の中でどれだけの安全を取れるかといった絶対的な視点の必要性を知ったのはこの時でした。
 数年前の私ならどうだったでしょうか、きっと京急車を両手離しに称賛し、他社の車を批判する一派に属していたことは想像に難くありません。見識を深めれば深めるほど思考も深まるものです、きっとこの考察も数年後の私が見たら酷く落胆することでしょう。いや、落胆させなければなりません。まだまだ知らないことが多すぎます、毎日が勉強であることも同時に実感させられました。
 付け加えておきますが、もちろん、車両だけで安全を確保することは不可能です。どんなに高性能な電車でも最終的に動かし、止めるのは人ですから、こちらの面でも安全を蔑ろにすることはできません。詳しい発言は事故調査委員会の報告書を待ちますが、この事故が京急、そして各社の”人”に対する考えに一石を投じたこともまた事実です。

 もちろん考え方は人それぞれです、こんな話題を出してしまって不快に思われる方、また考察が気に食わない方がいたらそれはごめんなさい。実はこの辺の話は書くか書かないかだいぶ迷いましたが、数年後の私が見てどう思うか気になったので、今の思考を言語化して残そうと思い書くことにした次第です。どうかご容赦ください。

 様々な観点から安全について再考するきっかけとなったこの出来事、知識のない私にとっては、事故の本質とは異なる車両の分野において稚拙な考察することしかできませんでしたが、間違いなく一生忘れることのない出来事だったように思います。そのような意味で、偶然であり必然ですがこの惨事の主役となってしまった1137編成を記憶に留めようと製作しました。「いつもの」は時として「いつも通り」では無くなるものです、せめて模型では大切にしてあげたいところです……

 ここまで駄文にお付き合いくださった方、本当にありがとうございました。これ以上長く引っ張るのも良くないですから、最後にひとつだけ……

 
 「ありがとう、そしてお疲れ様、1137編成」
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プロフィール

HN:
いおんぐりっど
性別:
女性
自己紹介:
京急/鉄道模型/床下機器/電気・電子工作/音楽アレンジ作り/同人活動
サークル:霊烏路車輌製造 主宰
Twitter:@kyukon_tech

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