お久しぶりです。いおんぐりっどです。なんだかんだで前回の更新から半年近く経ってしまいました。
さて、今回は今更感の否めないネタですが2100形車体更新車ということで、主に車体側の加工がメインとなりました。GMから既に完成品が出ていますが、それ以上のクオリティを自前で実現できないかと奮闘した記録になりますw 床下ネタは少なめですがお付き合いいただければ幸いです。
制作する編成は私が2100の中で一番好きな2101編成にしました。現車では車体更新1本目の編成になります。車体更新車が出場した時には前面のけいきゅんマークにびっくりしたものですが今ではすっかり見慣れたものになりましたねw
いつも通り各車紹介から行ってみましょう!
デハ2101号車(Muc)
海側
山側
浦賀方の先頭電動車で、主回路機器と空気圧縮機を装備する車両になります。これはほかの車でも同様となりますが、模型では補助的な機器の多くを銀千用のパーツで置き換えたほか、空気圧縮機や高速度遮断器(HB)、冷房配電盤などは自作の3Dパーツを取り付けてあります。
サハ2102号車(T)
海側
山側
浦賀方ユニットのパンタ無し中間付随車になります。車体中央の放電抵抗器(RD)は600形の記事などでもご紹介したいつもの自作3Dパーツです。蓄電池箱は銀千のものに置き換えました。
サハ2103号車(Tp)
海側
山側
こちらはパンタ付きの中間付随車になります。補助電源周りの機器一式に自作3Dパーツを使用しています。模型における動力車としました。
デハ2104号車(Mu)
海側
山側
浦賀方ユニットの中間電動車です。構成としては先頭車から空気圧縮機一式を取り去ったような機器配置となっています。細かい点としては、先頭車ではブレーキ受信装置箱(BCB)がブレーキ指令器(BA)を内蔵した大型のものであるのに対して、こちらのMu、それから後述のMs系ではBCB単独の小型のものになっているところなどでしょうか。これは自作3Dパーツで再現しています。また、この車が浦賀方ユニットと品川方ユニットの受給電区分の分かれ目に位置するため、山側の空気ダメの横に受給電接触器(SDC)が取り付けられています。
デハ2105号車(Ms)
海側
山側
品川方ユニットの中間電動車になります。Mu系と基本的な構成は同じとなり、SDCのみが搭載されていない形になります。模型的にはデハ2104号車とほとんど同じとなるため割愛します。
サハ2106号車(T)
海側
山側
品川方ユニットのパンタなし中間付随車です。サハ2102号車と同様のため割愛します。
サハ2107号車(Tp)
海側
山側
品川方ユニットのパンタ付き中間付随車です。サハ2103号車と同様のため割愛します。模型ではこちらは非動力車です。
デハ2108号車(Msc)
海側
山側
品川方の先頭電動車です。600形や銀千10次車〜とは異なりVIS用の行先表示制御器が床下に搭載されていないため、浦賀方先頭車と同様の配置となります。
さて、各車紹介も終わったところで今回のこだわりポイントを…
目玉の車体加工は後半のお楽しみとして、まず床下のほうをササッと見てみましょう~
RG6008-A-M形VVVFインバータ装置とフィルタリアクトルです。GM製品に付いてたものが個人的に割と好みの造形だったため、枕木方向で繋げて箱にした上でそのまま使っています。比較的近年の製品の床下なので色差ししてあげれば十分実用に耐えるディテールかと思います。個人的に2100形固有のVVVFのイメージが長らくありましたが、N1000形の更新でもサフィックス違いの兄弟形式が多く見られるようになって、増えたなぁ…と実感する昨今です。
こちらは山側です。目立つものとしてはHBとコンプレッサでしょうか。製品についてるものではディテールが納得いかなかったため、自作データの3Dパーツで再現しています。HBの艤装用枠、コンプレッサのサイドのスリット、配線などが上手く出力できたので満足です。
さてお次はT系の放電抵抗器…と言いたいところですがこちらは
以前にも紹介しているので今回は割愛します。どちらかと言うと見ていただきたいのは右隣に地味な感じで佇んでる冷房配電盤のほうでして~、こちらは実車では車体更新に伴い冷房装置が載せ変えられたため同時に取り替えとなりました。以前のものより筐体の天地寸法が短縮され、側面の切り欠きが無くなったあたりが外見上の特徴かと思います。実は今回制作している模型も元々は機器更新・車体未更新車として所有していたものに手を加えているため、実車同様に冷房配電盤も自作3Dパーツで取り替えとなりました。
補助電源周りです。600形4次車以降でお馴染みの三菱のNC-WAT150系のSIVですが、サフィックスCとなるこの形式では600形のNC-WAT150A形とは異なり、三相交流の出力電圧が200Vから440Vに変更されています。外形は同様のため模型では600形4次車で使用したデータを流用して3Dプリントしたものを取り付けています。だいぶ昔に設計したものなので(ディテール的な意味で)そろそろ作り直したいなぁとは思ったり…
こちらはMu、Ms系に搭載されるBCBです。蓋に刻まれた三菱の銘板が特徴的な箱ですね。3Dデータを作成する際にも最大限細かく作り込みましたが、プリンタの性能のおかげもあってうまく出力できたようで満足です。
台車周りは3Dプリントした排障器をつけてより密度を高くしています。それ以外はいつも通りですね。
床下に引き続きいつものメニューで加工したパンタ周りになります。
今回はちょっと気合いを入れて配管止めを少し濃いめのグレーで塗り分けてみました。やはり鉄道模型は上から眺めることの多いものですからこの辺にしっかり手を加えると見栄えしますね。他編成にも展開させていきたいところです…
さて、ここからがいよいよ今回のメインディッシュとも言える車体周りの加工についてです。
まず車体更新車といえばこれですよね、開閉可能に改造された車端部の側窓です。GM完成品では印刷で窓枠が表現されているものの、自前で制作しようとするとなかなか難易度が高くなります。窓枠については一応サードパーティでインレタが出ているのですが、どうもオーバーサイズ感があって個人的に好みでなかったので今回は塗装で再現しました。
というわけで、、、
\デンッ!白色のヤツ!/
はい、カッティングプロッタです。なんと友人が貸してくれました。本当に感謝ですありがとうございます。
そうと決まればあとはCADでサクサクッとデータを作って……
切るだけですね。超簡単です。シルエットカメオでは、AutoCADなどで書き出し可能なdxfファイルがそのまま読み込めるのでCADで設計して切り出すのに最適ですね。刃出し量3、切り出し強さ(厚み)3、速度1~2くらいで切ってちょうど良かった気がしますが、同様の方法を試される方は各自調整をお勧めします。あ、オーバーカット機能は忘れずにつけてくださいね。
危うく書き忘れるところでした、窓に関してはガラス側に0.3㎜程度のプラ板を貼りつけることで実車同様奥に引っ込ませています。接着が大変でした。
切り出しの際にアイボリーの太帯用のデータも作成したので今回は全塗装することにしました。
車体が全塗装ということでこちらもしっかり加工をしました。元あったルーバーを削った上、シール用紙を塞ぎ板サイズに切り出した上貼り付け、その上から塗装をしています。今のところ塗料の剥がれ等はなさそうです。厚さも概ねちょうどいいかと思います。
お次は屋根周り、更新に伴い2基/両だった排気扇は半減され、各車両で片側が撤去されたため同様に再現しました。元の脚を切り取って穴に差し込んで接着させた後、削るのがいちばん手軽かと思います。
冷房配電盤の話で少しだけ触れましたが、更新に伴い冷房装置が交換されています。どちらも三菱製のもので、左が落成時から搭載していたCU-71G形、右が更新に伴い搭載されたCU71H-G2形です。ファン部分のレール方向寸法が若干大きくなり全長も長くなったことが分かるかと思います。こちらのパーツのみGM車体更新車完成品用の分売パーツを使用しました。冷房装置の外形にはあまりこだわりのない私ですが、さすがに長さが異なるのをそのままにしておくのも納得がいかないのでここだけは投資することにしました。安く仕上げたい場合には銀千用の分売クーラーと元からついていたCU-71Gの整風板を組み合わせて貼り付ける方法もあります。
SR無線アンテナは更新出場直後を時代設定にして、準備工事としました。塞ぎ板は自作3Dパーツで再現しています。穴を開けて差し込むだけなので楽ですね。
運転台のコンソールもついでにサクッと設計したものを印刷して取り付けています。サードパーティからすでに発売されているようですが、これくらいなら自分でデータを起こしてまとめて印刷した方が手軽なのでコスト重視としました。こういう小物類って床下3Dパーツ出力用ランナーの隙間埋めにちょうどいいんですよね〜
最後に今回は客室内にも手を入れてみました。座席を塗り分けてシートの枕カバーに赤色のステッカーを貼り付けましたが、動力車抜きでも7両分の作業となりなかなかしんどかったです……仕事から帰ってきて眠気と戦いながらの貼り付け作業でした、同様にやってみようという方は気を確かに頑張ってくださいね……
さて、ここまでざっくりと見てきましたが車体更新車たる部分は概ね再現出来たかと思います。床下ばかりいじってる私ですが、たまにやる車体加工もいいものですね、切削や研磨などの技術の再確認にもなります。
余談ですが、車体を全塗装をしたいい機会ですから個人的感性に基づく京急車の色について少し触れておこうと思います。
個人的に京急車の赤色は暗すぎず明るすぎずが好みなのでGM29番バーミリオンAとクレオス81番あずき色を体積比で1:1程度になるように調合したものを、またアイボリーはGM21番のアイボリーAをそのままでそれぞれ吹いています。さらに塗装車はツヤが命ですからトップコートはもちろん光沢で、粘度を低くしたものを垂れる寸前で止めつつ何度も重ね吹きしています。
これは600形以降の所謂「バルーン顔」の車に限ったことですが、先頭部分のワイパーカバー(N1000ステンレス車では塗装による車号表記部分)はトレジャータウンのTTL852-01を貼り付けています。価格が高い上に貼り付けも比較的難しいインレタではありますが、元々の製品の印刷と比べて格段に見た目が向上するのでおすすめの1枚です。更新車で使われているけいきゅんマークは世田谷車両のインレタを使用しています。今回の2100では友人から余りを提供していただきました。修正で何枚も使っちゃってごめんなさい、ありがとうございました。
塗料のシンナーで脳みそがやられたのか、塗り直し始めたら段々と楽しくなってきてしまい手持ちの2100/N1000形については全編成を塗り直してしまいました。600形については追って施工していきたいと思います……上の画像は塗り直しによって大量消費された塗料の空瓶達です()
実は2101編成含め塗り直し関連の作業は大半を正月休み中に行ったのですが、おかげで正月休みがこれだけで溶けました。あ、コミケのお手伝いは行きましたけどねw
そんなわけで久々に車体側もしっかりいじってみたらめっちゃ楽しくて時間が溶けたっていうお話でした。今回はあまり現車の床下について細かいことを書かず、模型的な部分に視点を当てて製作記録を書いてみましたがいかがでしたでしょうか。おそらく模型メインの皆様にはこちらの方が読みやすい内容になったのではないかと思います。今後も大規模に車体をいじるような車を作る際にはたまにはこんな記事を書けたらと思う次第です。
今回も最後までお読みくださりありがとうございました。次回は京急の歴史において大きな変化の主役となった”あの”車を作っていく記事になるかと思います。お楽しみに!!
【おまけ】
最近2101編成よく人身やってる気がするしだいぶ派手に壊れてるけど京急さんそろそろお祓いしません?